第10章 dreaminess■
そんなこんなで結局五条に主導権を握られていていろいろと連れ回される羽目になった。
けれど誰も疲れは見せない。
きっと体は疲れていても、それを忘れてしまうくらいに楽しくて興奮しているからだろう。
「ねぇ、なんで全員ミニー?」
硝子が眉をひそめてミニーの耳を見つめる。
「ミニーが1番可愛くね?
それによく見て!全員イロチだからっ!」
五条が勝手に買ってきたそれはリボンの部分のカラーが全部異なる。
「じゃー私イエロー!」
「私はピンク!」
硝子は黄色、レイはピンク、五条は緑。
そして夏油はため息を吐きながらも青を付けた。
「ぷっ…お前らマジ似合わなっ。」
クマが噴き出しているのも気にせず五条がスマホをかざす。
「はいはーい!じゃー撮るよ〜」
パシャパシャ連射が始まる。
あとでグループLINEに送るわ。という五条のそれを覗き込むと、なんとも幸せそうな4人と1匹がきちんと収まりきっている。
こんなに楽しくてこんなに幸せでいいのかな。
なんだか怖くなる。
そんなふうにレイは感じて眉を下げた。
怖いっていうのは、これからのこと。
これからの未来にはもうこれ以上の幸せがないような気がしてならない。
1度こんな経験を味わってしまうと、
次に起きる出来事を想像して恐怖して、
それできっと、全てのことが今以下になってしまうんじゃないかと思ってしまうのだ。