第9章 swear
そういえば傑と2人でプリクラとかも撮ったことなかったな…
そう思いながら、嫌がる夏油をプリクラ機の中へと引っ張り込む。
「棗とクマと3人で撮ればいいだろ…」
「ダメだよ!何言ってんの?せっかく4人揃ってるのに。」
「ほらお兄ちゃん笑ってよ!?」
棗がクマを胸元で抱き上げ、レイがグッと夏油を引き寄せて顔を寄せた。
何度かパシャパシャとシャッター音がし、全部で4シーンのプリクラを撮った。
なかなか笑わない夏油に対し、クマがくすぐり攻撃を仕掛けてからはもうふざけた場面しか切り取られなかったのだが、ちゃんと全員笑っているものが撮れて満足だった。
次に入ったアクセサリーショップで、棗が声を上げた。
「ねぇ見て!レイちゃん!
さっきのプリクラ、このロケットペンダントに入れたらピッタリじゃない?」
そこにあるのはとても綺麗な柄が細かくあしらわれたシルバーのロケットペンダントだ。
パカッと開くと両側に写真が入れられるようになっているネックレス。
「わぁ本当だ!いいねっ!じゃあ買ってあげるから待ってて。」
「えっ、いいの?」
もちろん!と言ってそのペンダントを取った時、横から夏油に取り上げられた。
「また棗に何か買い与えるのか?あまり甘やかさないでくれ。」
「っ、甘やかしてなんかっ」
「私が買うから。あと、レイの分もね」
棗と顔を突合せて笑う。
なんだかんだ優しいお兄ちゃんはそれを2人にプレゼントしてくれた。
そこにピッタリとプリクラを嵌め込み、首にかける。
「ありがとうお兄ちゃん」
満面の笑みで礼を言う棗を、夏油は優しく目を細めて見つめていた。