第9章 swear
「おー本当に軽くなった!ありがとうクマくん!
よく五条くんに祓ってもらっていたんだがね、彼と最近会ってないからな…」
そうだったんだ…
悟はただここに遊びに来ているだけではなかった。
そう思ったら、なんだか五条のことが頼もしくなってレイの表情が自然と緩んだ。
「にしてもクマくん、君は五条くんにとてもよく似ているね」
きっと、口調や性格や遠慮のない態度のことを言っているのだろう。
クマはやはり眉を釣りあげた。
「あんな低レベルのクソ野郎と同類にすんなやっ!」
「お父さん、あまりクマちゃんを怒らせないでよ。私たちの絵を描いて貰うんだから」
「…ん?なに、絵?」
「うん!ちょーー上手いんだから!」
棗は心底楽しみだというように紙と色鉛筆を用意してクマに渡した。
前にクマが描いてくれた夏油とレイの絵は、夏油の部屋に額縁に入れて飾ってある。
今日、描く絵は、この家に飾られるんだろうか?
クマにこんなコピー能力の才能と特技があって良かったと心底思った。
夏油パパもママも、しきりに高専のことを聞いてきたのだが、夏油は口数少なすぎてほとんどレイが喋っていた。
そのおかげで、両親とは1日でとても仲良くなれた気がする。
完成した絵は、両親と棗が寄り添う朗らかな笑みがなんとも幸せそうに描かれていた。