第9章 swear
結局夕方までずっと棗の部屋でお喋りをたくさんしたり、クマも交えてゲームをしたりしていた。
ずっと放置している夏油のことが気になり、しばらくしてからクマを残して部屋を出る。
夏油の部屋に行くと、彼は本当にベッドで眠っていた。
まさか昼からずっと寝ていたんだろうか?
「おーい、傑〜。そろそろ起きなよ〜
そんなに寝てたら夜眠れなくなるよー?」
上から覗き込んで声をかけるが、起きてくれない。
「…ねぇってば!多分そろそろお父さんも帰ってくるんじゃない?」
ガシガシ揺すると、ようやく虚ろな目が開いた。
「…んー… レイ…ここへ来て…」
「え?ダメだよもう起きてよ」
「…少しだけ」
そう掠れた小さな声で言って薄手の夏用布団をめくってきたのでため息を吐きながらもおずおずと布団の中へ入る。
ギュッと夏油の腕に包まれて胸に顔を埋める。
ずっとベッドの上にいたのだろう、夏油の体温でかなり暖かい。
レイは思い切って、棗とした先程の会話を話した。
すると夏油は、あ〜…と短く声を出してから寝起きのかすれ声で話し出した。
「あいつは自分の力を掌握できないから仕方ないんだよ。人殺しになってほしくはないしね…だからあえてキツく言ってある。」
「うん、でも…いくらコントロールできないんだとしても…なんだか少し可哀想だなって…」
そう小さく洩らすと、夏油はレイの頭を撫でながらゆっくりとした口調で言った。