第9章 swear
「ちょっと傑っ。こういうの大丈夫なら先に言っといてよ。クマは家族の前には出さないって話だったじゃん」
こそこそと夏油に耳打ちをする。
「そんな話したか?うちの人たちは全く平気だよ。そもそも私の呪霊のことだって分かっているし」
「・・・」
やっぱり話を聞いていなかったんだなと思い、何も言えなくなる。
しかし、とりあえずは良かった。
クマの素性を隠す必要はなくなった。
棗はまだドーナツに迷っているようなのでレイは声をかけた。
「棗ちゃんはピンクは好き?
クマと同じイチゴ味なんてどうかな〜って思ったんだけど」
「え?私の好きな色は緑色だよ!ピンクみたいに女の子っぽい色って、ちょっと苦手なんだ〜」
そう言って緑の色合いのドーナツを取って食べだした。
「ん〜おいしい〜!抹茶味だ〜」
「・・・」
すかさずレイは夏油を睨む。
全然ピンクじゃないじゃん、と目だけで言う。
夏油は苦笑い気味で視線を逸らした。
「ところでさぁ、五条悟は元気ー?」
まさか突然その名前が出てくるとは思わず、レイは目を見開く。
それと同時に夏油が面倒くさそうに答えた。
「元気ありすぎて困ってるくらいだよ、相変わらずね。」
「あのさー、これ返しといてくんない?」
そう言ってテーブルに置いたのは何かのゲームのようだ。
五条に借りていたということは…1年前に借りたものということだろうか?
夏油は実家に帰るのは1年前の夏休みぶりだと言っていた。