第52章 forgery
「獄門疆は生きた結界。源信の成れの果て。
獄門疆に封印できないものはない。」
「だが流石に、封印条件はあるのであろう?」
夏油は冷静な態度で僅かに口角を上げる。
「1分だ。」
「は?」
「獄門疆開門後、封印有効範囲半径約4m以内に1分間、五条悟を留めなければならない。」
その言葉に、漏瑚の頭からまたフツフツと火花が飛び散る。
「…おい゛焼き殺すぞ!
よもやその無理難題を押し付けるために手を組んだのではあるまいな?!」
五条悟…あやつを1分間も?!
そんな不可能…!
「その条件下でアレの1分。
蒙昧な人間共その一生を幾千積み重ねても釣り合わんぞ!」
「暑いよ、漏瑚…」
夏油は眉間に皺を寄せ、呆れたようにため息を吐く。
「大丈夫。1分と言ってもね…
五条悟の脳内時間で1分だ。」
漏瑚の目が見開かれる。
「私が意味もなく"夏油傑"なわけがないだろう。」
その"意味"は、何よりも確実性を孕んでいた。