第8章 unexpected
「あぁ…自分が自分を愛してやらないでどーすんだ?」
「はっ、カッコつけちゃって」
「あの言葉通り、おいらはレイほど綺麗な人間を知らない。心がだ。分かるか?見た目で判断するのは人間だけがすることだからな」
クマはボーッと天井を見上げている。
「レイはおいらの全てなんだよ。おいらの生命そのものなんだ。」
大好きなんだ。
レイのことが。
五条の目が見開かれ、眉にはシワがより始める。
こんな発言をこいつがすると思えなくて幻聴なのかとさえ思えてきてしまう。
しかしクマの顔も声も、今までないくらいに真剣そのものだ。
「でもこれは恋愛的な意味じゃねぇ。勘違いすんなよ」
「してねーよ!つぅかお前さっきから言ってることクマの人形が言うセリフじゃねぇぞ?そういうのはイケメン俳優が映画で言うセリフ!俺みたいのが!」
これ以上、妙なライバル増やされてたまるか。
クマは何事も無かったかのようにコーラに口をつけ、うっまっず!と一言言った。
「それよりさー…俺はさー…」
「あん?」
「レイの泣いてるとこを見てーんだ」
「は、何お前やっぱ変態か?」
「違ぇよ真面目な話。レイの笑ってる顔もいいけどさー、感情爆発させて泣いてる顔も見たいんだよ。」
じゃねぇと壊れちまうだろ、あいつ。
「レイが幸せならそれでいいじゃねぇか」
「あぁ俺もそう思ってるよ。レイの視界に俺が1番に映ってなくても。でもな…俺は……誓ったんだ。…」
空になるって。