第8章 unexpected
「つーか、話脱線してる。結局お前ってなんなの」
クマは面倒くさそうに寝そべって天井を見上げた。
「おいらは多分レイの一部なんだよ。表に出ないレイの感情の一部から作られた…と勝手に思ってる。」
「あー、なるほど?だからお前そんなに口悪くて性悪なのかぁ。」
それについてはクマは何も突っかかってこなかった。
代わりに冷淡な声色が聞こえる。
「それでもだんだんおいらの意思がおいらになってる…気がする。」
あぁ…確かに。
と五条は思った。
初めの頃よりは少しは攻撃的じゃなくなっているし、1人の人間のようなアイデンティティが確立されているように最近は感じる。
「…あれ?でもさー、それじゃ傑の意思は全く介入してねーってこと?あいつも相当お前に呪力流し込んでたと思うけどー?」
「してる。3割か4割くらい。」
その即答に目を見開く。
レイと傑の、クマを動かそうとする意思が、クマを動かしているのだとしたら?
「…つかさ、お前それって…例えばだけど、レイも傑も死んだら…どうなるんだ?」
するとクマはくくくっと笑った。
「おいらも人形に戻る可能性が…ある。多分な。」
「………マジか。ウケるな」
全くウケてない顔をして考え込む五条を見ながらクマは言った。
「今度はおいらの質問に答えろや。お前さ五条よ、
レイのことが好きなのか?」
五条の碧眼が真っ直ぐとクマの瞳を捉える。
ニッと白い歯を見せて答えた。
「うん。好き。大好き。でもさクマ助、お前もだろ?
あの時の言葉も、レイのことなんだろ〜?」
"おいらが綺麗だと思うのは…
この世でたった1人だけだー!"
夏油の呪霊に向かって放った言葉。