第8章 unexpected
案の定、夏油の険しい顔はなかなか直らなかった。
「私にあんなに大口叩いておいて、どういうことだ?
それにクマ…君も行ったわけだ。何をしていた?」
冷徹な眼光が見開かれ、五条は息を飲んで苦笑いする。
こんなに怒っている夏油は珍しすぎる。
「悪かったよ傑。言い訳はしたくないからちゃんと謝る。ちなみにクマはとくになーんにもしてなかったんだ。」
「ふざけるなメガネ野郎!おいらはガキを守りきったし最後まで遊びにも付き合ってやってたんだぞ!」
夏油は、五条が送り付けてきた写メを見ながらますます眉間に皺を寄せた。
「こんな写メまで送り付けておいて…
遊びか何かと勘違いしていたんじゃないのか?」
「それはみんな無事だよって傑にソッコー知らせるためのやつじゃん!…つーか、そんなことよりかなり重大な話がある。」
突然真剣な声になる五条を辛辣な顔で見る。
「なんだ?」
そのあとの五条の話に、夏油の目はみるみる見開かれ、口を開けたまま固まった。
そんな夏油を見ながら五条は言った。
「呪霊操術…傑と同じようにあれを使いこなす能力がレイにもあったんだと思う。」
「・・・」
まさに言葉を失った。
なんとも複雑な気分になる。
クマは、治療しているレイの方へと行ってしまった。
何も言わないままの夏油に五条は続ける。
「そしたらお前と同じようにレイも呪霊を飲み込み続けるだろうな」
「確かにかなり予想外だが…」
ようやく夏油がゆっくりとした口調で口を開いた。