第8章 unexpected
「予想外だが、よかった。」
その言葉に、たちまち五条は怪訝な顔つきになる。
夏油はどこか朗らかな笑みを浮かべて炭酸水を飲みだした。
「…俺の話聞いてたか?よかったとは言えなくねーか?レイは傑と同じような思いをしていくんだぞ。」
「あぁ、でも……
共通点、共有点が増えたんだ。これ以上嬉しいことはないね」
「……またそのセリフかよ。」
五条はあえてうんざりしたように言ったが、
また真剣に向き直った。
「とにかくさ、悪かった。
大事な大事な恋人に、傷をつけちゃって。」
夏油は顔を上げ、上目遣いで口角を上げた。
その笑みが今まで見たことないくらいに不気味で、五条の眉間に皺が寄る。
「…うん。2度目はないと思ってくれよ」
廊下の方から、
レイとクマと、硝子の声が聞こえてきた。
「あぁ。2度目はねぇよ。」
「ふ…信じているよ。たった1人の親友を。」
部屋に入ってきたレイたちは、夏休みのことで早くも浮かれているようだ。
クマはいちごミルクを吸いながら興味深そうにレイと硝子のスマホを覗き込んでいた。