第50章 promise ■
2人で入る湯船の上には、ぷかぷかと大量の赤い花びらが浮いている。
幻想的でもあり、神秘的でもあり、ロマンチックでもある。
そういうものを、今日はあまりにもたくさん見ている。
そこにレイが、
今日1日目、1本目の薔薇の花びらをゆっくりと剥がして落としていった。
それは1枚1枚、赤い絨毯の上に加わっていくように敷き詰められた赤に混じっていく。
ボーッと無言でそれを眺めながら、五条は思った。
あの日…高専卒業の日の桜の絨毯を掬いながら呟いたことを思い出す。
" 僕はもう、道を決めたんだ。
そこを通る絨毯も、自分で敷いていく。
ルビーみたいに真っ赤な絨毯をね…
僕には………夢があるんだ。"
教師になって、若く聡い仲間を育て上げ、
若人から青春が取り上げられることの無い呪術界を作る。
親友の言葉がきっかけで決意した夢。
そして…
諦めていたもう1つの夢。
これがまさか、叶うなんて思いもよらなかった。
しかも…こんなふうにね…