第50章 promise ■
"空見るの好きだな。前向いて歩けよ。転ぶぞ。
手繋いでる俺まで転びそうで怖いんだけど。"
"悟も普段から空はよく見た方がいいよ"
"んな余裕ねーよ。いつも。"
"心に余裕がある時に空を見上げるんじゃないよ?空を見るから心に余裕ができるんだよ。
空を見上げるとさー、全ては繋がってるって実感できるんだよね。空は何があってもどこへ行っても一緒にいてくれる。いつだって味方になってくれる"
"なぁ…レイ、俺決めたわ"
"へ?"
"空になるわ、俺。
そのときの彼の真っ白い髪は、
月光と星の瞬きで煌々と揺れていた。
そして、今この瞬間も…。
そうか…
どうして今頃になって気がついたんだろう
悟はあんなに前からずっと…ずっと…
私の…
空だった…
あの時の私なんて、
たった一人の人のこと以外は、
むしろ自分のことすらも全く考えてなかったし、見えてなかった。
空を、上を、
見上げているフリして本当は見えてなかったんだ。