第50章 promise ■
「にしても、上海は楽しかったみたいでよかったね。あ〜この写メとかほんっと何度見てもウケるっ」
「えぇっ?!」
レイは急いで窓から目を離し、五条のスマホを覗き込んだ。
そこには自分が激辛麻婆豆腐を食べて悶えているような姿が映し出されていた。
「なんでこれを悟がっ…まさかクマ?!」
「うんそう。他にも逐一、いーっぱい送ってきてくれたよぉ。あ〜この水着姿なんかやっぱ最高だね」
「ええっ!ちょっとちょっと嘘?!いつの間にっ」
「ほんっとクマはいい仕事してくれるよ♪」
楽しそうに何十枚もの不意打ち写真をスクロールしている五条。
レイは心の中でクマに抗議した。
「僕さぁ、今回は本気で落ち込んでてさぁ、正直もうどうしたらいいのか分かんないでいたんだけど、クマポンが、レイは上海でもお前のことばっか考えてるみてぇだとかなんとか…
そんなふうに言ってきてくれたからさ。嬉しくて…でもすごい焦って…で、まぁ…正気を取り戻したってわけ。こうしちゃいられないよなって。」
「そ…なんだ…確かにそれは、本当のことだった。悟のこと頭から離れなかったから…」
「……ホントに?」
「……うん…」
沈黙が流れた。
五条のギラギラしたこんな目をこうしてジッと見つめるのがなんだかものすごく久しぶりに思える。
「……… レイ〜っ!!」
「っわ!ちょっとちょっと静かに!
流石に飛行機の中なんだからさっ!」
突然バッと抱きついて押し倒される。
互いの懐かしい匂いが鼻をくすぐった。
「レイ…ちゅーしていい?」
「…うん」
ゆっくりと唇を重ねられる。
ただ重ねただけなのに、その柔らかさと熱はまるで何年も待ちわびていたかのように全身に染み渡り、そして本能がそれをもっともっとと求めているのがわかった。