第50章 promise ■
「で、あいつの店には硝子とか七海と行ったことは何度かある。それで…その……」
急に口ごもるので、レイは小さく深呼吸してから言った。
「…なに?言って?」
「……うん、あのね…」
「うん」
「あいつとキスしたことが…あってさ」
レイの鼓動が大きく跳ねた。
やっぱり……
そうだったんだ…
「いや、あれだよ?もちろん向こうからね?
僕ゲイにはモテないし!
でも僕もなんかそのとき…何でかわかんないけどキスに応えちゃったりして…酔ってたのかなぁ。
いろいろあったあのころだから自暴自棄になってたのかも…
それを面白おかしく今でもネタにされたりしててさぁ、もう参っちゃうよ」
ポカンとしているレイに気がついたように、五条が慌てて口を噤んだ。
「えーと…とにかく僕が言いたいのは、ごめんてこと。
…こう見えてけっこーアホだからさぁ僕…」
ショックを受けたように固まるレイの頭に手を置きながら五条はため息を吐き、気まずそうに言った。
「…すごーい昔の話。
レイがいなくなったばっかの頃の話。
こんな話嫌だよね…キモいよね……ごめん」
「……あ……うん、そっか……ふふっ」
なぜだか笑いだしたレイに、五条は訝しげに体を離し、瞳を見つめる。
これ…笑える話だったかな…?
それとも……