第8章 unexpected
それに気づいたレイはなんとかそちらにも攻撃を命中させたのだが、先程のみぞおちの痛みと、今の衝撃で掠った傷の痛みで顔を歪めた。
「っぐ……」
よろけたレイに迫った呪霊を五条が消そうとした時だった。
「…っ……?!」
レイの中から一体の呪霊が出てきた。
大きなコウモリのような羽を持った呪霊だ。
俯いていたレイが顔を上げ、カッと目を見開いた瞬間、そのおどろおどろしいコウモリ呪霊は、目の前の呪霊を1発の攻撃で払ってしまった。
「… レイ…まさか…」
「あぁ。夏油傑の呪霊操術だな。」
五条の言葉にクマが冷静に声を被せた。
「…マジかよ…あの日、飲み込んだってヤツか?」
前に夏油とレイが任務へ行った際に、夏油が飲み込もうとしていたのを無理矢理レイが飲んでしまったと言っていた、あれかもしれない。
いや、間違いなくそうだろう。
何事も無かったかのように静まり返り、普通のビルの一室になったこの空間。
五条は考えるのは後にしようと思ってレイに肩を貸し立ち上がらせ、あえて明るく言った。
「へいき〜?帰ってスマブラできそー?」
「うん…多分余裕でできるよ。はは…」
レイは笑いながらみぞおちを手で押さえ、手の甲の傷にハンカチを巻きつけた。
「あ〜よかったぁ〜みんな無事で!」
子供たちには傷一つない。
しかし、完全に怯えきってしまっていて、顔を強ばらせている。