第49章 roaring
«とにかく頼むよ。あいつの悪いとこは愛情の裏返しだと思ってよ。とにかく昔も今も、"レイ命" なんだよ。»
それだけ言って切れてしまった。
レイはそのままゆっくりと五条にメッセージを打とうとページを開く。
しかし、震える指が、あちこちに触れてしまい、なんて打っていいかも分からず混乱していた。
対するクマは、
憂憂の顔の絵を描きながら呑気な態度で七海に電話をしている。
「なんだよ、シチサン。
おいらに電話なんて、めずら」
«そんなこと言ってる場合ではないのですよ、五条さんが五条さんではなくなっています。»
「はっ、おもしれぇ冗談だ」
«冗談ではな»
「あいつはレイの前だと何にでもなれるらしい。
本人談だ。」
«そういうことではなく…ハァ…
ところであなたは今何を?»
「憂憂の絵を描いてんだ。だから忙しい。
要件は手短に言え。」
«…ハァ……
やはりあなたもそこにいるんですね…»
七海の焦ったような吐息が聞こえる。
クマはスマホを挟みながら真顔で憂憂の絵を描いている。