第8章 unexpected
「じゃっ、おいらはレイの指示あるまで動かねーから。2人で頑張んな。」
廊下を歩きながらも、すでに小さな呪霊たちが迫ってきている。
しかし、五条は余裕の表情でそれを払いながらクマに言った。
「お前さぁ、マジなんのためについてきたの」
「ちょっと2人とも静かに!」
レイの声で一気にシンとなる。
そしてその意味をたちまち理解した。
人間の子供の泣き声がするのだ。
よく耳を澄ますと、1人ではない。
「2人?…いや、3人?…3人いる?」
「どーせ隠れんぼでもしてたんじゃね。バカだねー」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ!
早く見つけ出さないとっ!」
五条の声を遮ってレイは走り出した。
「おら、クマ野郎、お前の出番だ。早く追えよ」
「てめぇに言われなくともわかってるわ!てめぇはこのビルの呪霊を全部やっつけとけよ!」
「それこそお前に言われなくてもわかってるっつの!」
声を探って辿り着いた部屋には大型の呪霊に囲まれている子供が3人いた。
女の子1人と、男の子2人だ。
レイが入った途端に呪霊はすぐさま攻撃を仕掛けてきたが、持っていたピアスを翳してそれを弾き返した。
3人の子供の胴体には呪霊の触手のようなものが巻きついていてそれに引きづられるようにして呪霊の中へと取り込まれそうになっている。
「くっ、…1級…?…」
何度も攻撃を放ってもなかなか当たらない呪霊に対し、そう結論づける。
すると背後からクマの呑気な声が聞こえた。
「だろうな。ふへぇ〜めんどくせー」
そう言って即座に呪霊を払おうとするクマをレイは止めた。