第48章 hesitation
レイは冥冥と広い浴槽に一緒に浸かりながら、次第に気持ちが落ち着き完全にリラックス入浴モードになっていた。
冥冥がそれを見計らっていたかのように話し出した。
「時間は仲直りの特効薬だけれど、時間に頼りすぎていてはダメだよ、レイちゃん。」
レイが冥冥に視線を移すと、彼女はガラスウォールの向こうの夜景をぼんやり眺めていた。
「仲直りのチャンスを待っているばかりでは不十分ってことさ。受動的な姿勢には運や偶然に任せる要素があるけれど、受動的ということは仲直りができない可能性もあるということだ。」
レイは黙って今の言葉を反芻する。
確かに、こうして離れて時間をおいて冷静になることで自分の未熟な点や反省点を考えられることはあるとは思う。
でもそれが長すぎると…取り返しのつかないことになるかもしれない。
「時間は仲直りに有効ではあっても、完璧ではないんだ。だからやはり2人で話し合わないとだねぇ。」
「……はい。」
誤解があるなら互いに説明する必要があるし、悪かったことはきちんと謝る必要がある。
罪があるなら償う必要があるし…
「つまらない意地を張ってると、自分のためにもならない。視野も考え方も狭くなるしね。
心の器が大きいのは、頑固になって謝れない人より素直に謝れる人さ。まぁでも今回は…謝るべきは向こうかな。」
「そう…ですかね…」
「許すか許さないかは君次第だけどね。私はここにずーっとレイちゃんがいてくれても、ぜんっぜん構わないのだから。」
艶めかしく笑ってそう言われ、急いでその色気MAXの裸体から目を逸らす。