第48章 hesitation
「…お願いします。憂憂坊や。」
«……全く世話が焼ける男ですね。それよりあなたは相当罪深いことを犯している自覚はあるのですか?»
「ガキのお前にはかんけーないんだ。いちいち一言二言多いんだよ、つべこべ言うな。」
«果たしてどちらがガキなんでしょうね、呆れてものも言えませんよ、全く…»
「っ!!」
ピキンとこめかみに青筋がたった瞬間、勝手に電話を切られた。
やり取りが聞こえていたクマは爆笑して笑い転げている。
「ギャハハ!やっぱおいらあのガキ好きだぜえ!ギャハ!」
「……クソすぎる…」
「ま、時間は全ての者に与えられている平等な資源だ。どんなに腹が立ってても時間が経てば感情が収まるし、どんなに落ち込んでても時間が経てば気持ちは落ち着くもんだろ。どんなに心が傷ついてても時間が経てば傷は癒えるし、どんな激しい喧嘩も時間が経てば記憶が曖昧になる。」
「………え」
「だが喧嘩がヒートアップしてくれば、途中で火を消し止めておくほうが延焼を防げるのも事実。どーするかはお前ら次第。おいらは寝るぞ。」
「え、ちょっと待っ」
「てめぇいい加減にしろよ?
そもそもくっだらねぇことでピーピー喚き散らしやがって!人間てのはどいつもこいつも…もうおいらを頼るな!てめぇら2人の問題だろーが!おいらをなんだと思ってんだよ巻き込むな!!」
バタン!
部屋を出てってしまった。
クマの言葉を何度も脳裏で反芻する。
失いたくない。彼女だけは。
ならばやはり早いとこどうにかしなくては…