第48章 hesitation
「なんっだよ!お前それでも男かよ」
「今夜だけは1人にしないでくれ頼むから」
「……最強が泣くぜ。ったく…」
クマが心底呆れたように五条を押しはがそうとした。
が、五条はクマを抱き締めたまま離さない。
「はなっ離せバカヤロウ!」
「やだぁ行かないでぇえ!うわ〜ん!」
「………。きも。」
「ヤダヤダホントにお願い!1人にしないで!!」
「とりあえず離せ!
ほらコレでも舐めて一旦落ち着け!」
「うぅ…ぐすっ…」
五条はクマから渡された棒付きキャンディーを半べそかきながらぺろぺろと舐めだした。
客観的に見ると完全に幼い子供だ。
「はっ、ガキが。」
「僕のくだらないプライドのせいだよな…」
ついカッとなってペンダント潰しちゃったりして…
あー…などと独り言をブツブツ言っていると、
クマの冷淡な言葉が膝の上から聞こえた。
「なら素直に謝れ。自己保身を考えて謝れないのは、本物のプライドではなく、偽のプライドなんだぞ。謝ったら負け、謝るのは恥ずかしい、みてぇな卑屈な考え方は誇りではなく保身だ…」
「えっ、保身?!それ僕の1番嫌いな言葉!!」
「謝るのはガキでもできることだ。もし謝れないならガキ以下ということになるなお前は。
いや、そもそもガキだから幼児以下、赤ん坊だな。」
「え。ボク赤ちゃん?」
「とにかく!
自己保身ばかり考えて、大事な一言を言えないのは、恥ずかしいことだ。あ〜あ、見てらんねぇな〜」
五条はしばらく目を見開いて沈黙していたが、
「よしっ!とりあえず電話する!」
と言って涙を拭き、
思い切ってレイに電話をかけはじめた。
長い呼び出し音の後、応答があった。