第48章 hesitation
冥冥も憂憂も黙って聞いていたのだが、ペンダントを消された件については同時に眉をひそめだした。
「それは…なかなかやってくれるね五条くんは…」
「えぇ。首くらい締めてやったらどうでしょう?」
憂憂の気味の悪い発言に少し苦笑いする。
「奴にビンタくらいは飛ばしても」
「蹴りもつけた方がいいのでは」
「それ以前にレイちゃんをここまで悲しませ困らせているわけだからねぇ。」
「死んでも償いきれませんね。シバきに行きますか姉様」
口々に言う姉弟にレイは焦り出す。
冗談には聞こえないからだ。
「えっ…あっいえいえ、なんていうか本当…わかってほしいんです…いろいろと…。」
冥冥はしばらく考え込んだ後、話を整理し直したようで、一つ一つにコメントして言った。
「私はあの男の味方ではなく君の味方だからそこは承知で一応聞いてほしいんだけど…まず買い物癖についてだけれどね、男のそれには素直に甘えとくべきではあるよ。」
「えっ」
「だってさっきレイちゃんが履いてた靴、とっても素敵で似合っていたもの。どんどんあの男の色に染め上げられているのは複雑な気分ではあるけれど、女が綺麗になっていくのは付き合っている男によりけりだからね…」
今日咄嗟に履いてきた靴は、あの時五条が選んだルブタンの透明素材のヒールだ。