第48章 hesitation
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冥冥には迎えに行くと言われたのだが、申し訳ないので最寄り駅までは電車で行った。
そしてそこからは冥冥のいかにも高価そうな外車で10分もしないうちに着いてしまった。
そこは、自分たちが普段暮らしているタワーマンションに引けを取らないくらいに高級なマンションだった。
ちなみに自分たちの住んでる階は、32階だ。
しかし、冥冥のマンションは51階だった。
ガラスウォールの外の夜景が絶景なのはもちろん普段もそうなのでかわりないのだが、内装は、自分たちの上を行くレベルだと思ってしまうほど洗練されていた。
インテリアのひとつひとつがいかにも"高級"の1文字で表せるようなものなので、壁に飾ってある絵画などを見ながらしばらく沈黙してしまった。
「レイちゃんの部屋はこっち。
好きに使って。」
そう言って案内された部屋はアジアンテイストで、天蓋付きクイーンベッドがあったり、提灯のような灯りがあったり、そこかしこに置物やお香などまで上品に置かれている。
そして心の中で思ってしまった。
えっと……
冥さんには悟の金遣いの荒さについて相談できないのでは?
むしろ…え、もしかして、私がおかしい?
「荷物置いて落ち着いた頃にリビング来てよ。
食事まだでしょう?」
「あっ。ありがとうございますっ!」
なんだか落ち着かない空間だ…
眠れるかな……
ひとまず不安な感情はうちにしまい込んでからリビングへと向かった。
「あっ!レイさ〜ん!」
「わぁっ!憂憂くんっ!久しぶり〜!!」
会うのは京都姉妹交流会の夜の食事会以来だ。
10年前のあのころの面影は残っているが、本当に好青年のように美しく育ったのだなぁと実感させられる。
そして相変わらず冥冥のことを姉様と呼び従順なところも可愛らしい。