第48章 hesitation
「レイは僕にキスされると、どう感じる?」
「え?」
「頭が真っ白になって、もっと触れて欲しいとか…もっと欲しいって、思うんじゃない?」
色っぽい表情でジッと見つめられてそんなことを問われれば、それだけで頭が真っ白になってしまって何も言えなくなる。
「キスを感じるのは、唇に与えられる刺激だけが理由じゃないんだよ?…例えばレイの場合はね…こうして髪を撫でるフリして頭皮に爪を立てんの…で、髪が揺れるくらいに息をかけて…」
そう言って、後頭部に柔く指を立てられ、髪にフワッと唇が寄せられた。
「それで、腰を触りながら、こうして頬にかするくらいに唇をつけて…そのまま鼻と鼻がつくかつかないかの距離で触れる…」
言葉の通りにされ、ギュッと目を瞑る。
ぞわぞわと鳥肌がたってきてしまった。
「んで、こうして微妙に息をかけんの…」
かすかな甘い吐息が顔にかかり、呼吸が荒くなってくる。
「このまま流れるようにゆっくり下唇を含んで…全身でクリーム舐めとるみたいに…こんな感じで…」
「んんっ…!」
啄むように唇を啄まれ、舌をわり入れられる。
艶めかしく口内を舐め取られ、舌を掬い絡められた。
絶妙な力加減で吸われてからパッと開放された頃にはレイはヘナヘナと床に座り込んでしまいそうになり、五条が笑って抱きとめベッドに座らせる。
「ふふっ…これを、1秒以内にやるわけ。
わかった?」
レイは顔を赤らめ、呼吸を整えながら口を拭く。
まさに、体全体でキスをされている感覚。
唇を起点としつつ女性をすべて包み込むようなプロのキスの仕方…
「わっわか、わかんないよ…てか、私が聞いてるのは…そういうことじゃなくって…」
唇を噛み締めてどこか悔しそうななんとも言えない表情で目を逸らして黙ってしまったレイに、一瞬五条は目を丸くしたが、クスッと鼻で笑った。