第48章 hesitation
グッと腕を引かれスーツケースから離されたかと思えばスルッと後頭部に指が滑り込んできて、唇を押し付けられた。
クチャ、チュ、と淫靡な音が部屋に響き、動き回る舌の愛撫に徐々に力が抜けてくる。
なぜ彼とのキスはこんなにも蕩けるような快感を感じるのだろうか…
それほど、五条のキスは凄いと思ってしまう。
レイは無理やり唇を押し剥がして五条を見上げた。
濡れそぼった口元をペロっと舐めながら、ニッと白い歯を見せる五条の目隠しをバッと下ろす。
「んっ?どうしたのー?」
「あのさあ……前から聞こうと思ってたんだけどさ…」
不機嫌そうなレイに、丸く見開いている五条の碧目がまっすぐ刺さる。
「なあに?」
「なんで、そんなに、……」
「……え?なに?」
宝石のような瞳を直視できなくなり、目を逸らしながら口を開いた。
「なんで、そんなに、き、キスがうまいの?
やっぱ…慣れてるから?」
その言葉に五条は一瞬固まったかと思えばけらけら笑い始めた。