第47章 determination ■
「でも…
それだけレイは大切な存在なんだ…
だからさ恵…
ちょっかい出さないでよこれ以上。
頼むよ。
僕だってこれ以上冷静さを欠きたくない。
次は僕、なにしちゃうか、どうなっちゃうか、
自分でもわかんないから。」
なんだよその目…
どこか満たされたような
飄々としたその瞳。
「さっきも言ったとおり、
僕は恵の気持ちは一番よくわかってるよ。」
「はぁ……からかってるんですか」
「違うよ。真面目な話。
レイのことが大好きで、いくら手に入れたくても、本人は別の男のことを見てて、こっちには見向きもしない。」
「……イヤミですよね、それ。」
「ふふっ違うってば。だからその状況、僕も今までずっとそうだった。僕なんて何年もそれに耐えてきてたんだから。その苦しみや葛藤は嫌というほどよく分かるわけ。」
「……だからこういうチャンスを俺にくれたってわけですか?」
「ん…まぁ、そうなのかな…
単に僕が苦しいだけなのかも…」
レイがいなくなったら、
ホントに死んじゃうし、僕は。
「じゃあいつかアンタを殺してレイさん奪いますね。」
「うん…」
五条はうっすら笑ってから目隠しをし始めた。
「だから、強くなってよ。
僕に置いてかれないくらい…」
そう言って踵を返していく五条に目を見張る。
それは、初めて出会った時の、
あの日の言葉。あの日の背中を思い起こさせた。