第47章 determination ■
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ため息を吐いて脱力気味に頭を搔く伏黒に五条は優しく言った。
「恵…ごめんね。
君を煽ったのは他でもない僕だよね?
いつも大人気なく嫉妬心剥き出しにしたり独占欲露わにしたり…それで君は腹が立ってたんでしょう?」
「……。」
伏黒は目を瞑って考える。
いつも彼女に対してそういう態度を取るこの男に俺は…
確かにイラついていた。
常日頃から見えるところに無数の痣を付けたりして…
そのガキみたいな独占欲と嫉妬心と敵対心に心底腹が立っていたのは事実。
言葉では言い表せないほどに…。
"僕のものだ。手を出すな"
それを表すように
全力で牽制されたみたいな感覚。
そういう無言の圧力を常に感じて。
そしてこうも大人気なく感情を露わにして。
ほんっとにガキみたいだよな。
そう思った。
それと同時に、俺は…
この人といる時のあの人と
あの人といる時のこの人を
心底疎ましく、そして羨ましくも思ったんだと思う。
「冷静さを欠いていたね…
教師としても男としても、
自分が心底情けなく思うよ…」
あぁ、
そんな顔したことなかったのになこの人は。
あの人と付き合って、変わったんだな。
いや、あの人が現れた時から変わった。
この人を彩る世界が
まるで360度変わったかのように。