第7章 rival of life■
B5サイズくらいのその紙は、夏油の前にかざすと、寝息のせいでヒラヒラと揺れた。
それがおかしくってレイは声を押し殺して笑った。
クマも笑いをこらえている。
「おい、2枚に増やそうぜ」
そう言ってクマがもう1枚渡してきた。
くくくっと笑いながら2枚重ねて夏油の顔の前に晒す。
「わぁ…はは、凄いっ。まだ大丈夫そう」
夏油の息と同じリズムでヒラヒラする紙を見て噴き出しそうになる。
「おい、もー1枚っ。ほらよっ」
「うぃっす」
3枚に増やす。
客観的に考えると、なんとも幼稚で馬鹿らしい遊びだ。
それでもどうにも楽しすぎてクマもレイも笑いをこらえる。
「夏油傑選手っ。3枚に挑戦中〜」
「こいつやべーな。寝息荒いんじゃね?」
徐々に笑いが堪えきれなくなってお腹を抱えたその時、
夏油の瞼がついに開き、鋭い目線が突き刺さった。
「っわ!!!」
ガバッと起きてレイが布団に引き込まれるようにして一気に押し倒された。
パラパラと床に紙が落ちる。
一瞬のことすぎて唖然としたまま目を瞬かせると、夏油が口角を上げてこちらを見下ろしていてドキリとする。
「随分と楽しそうにイタズラしてくれてたね?レイ」
「ちっ、ちがっ!だってクマがっ!」
「あ?てめ、人のせーにすんなっ。ぐふふっ」
クマはついに抑えきれなくなった笑いを解放していた。