第46章 domain
「このカスタードと中のクレームダマンドの甘さに、このイチゴとラズベリーの酸っぱさが絶妙なバランスを作ってる。んで極めつけはこれだな、このシュクレとフィリングの濃厚さと口溶けの良さ…んん、なるほどラム酒の香りと」
「ねぇ、少し静かにしてくれない?てかお前はグルメリポーターかよっ…。まぁ彦摩呂のコメントよりは100倍マシだけど…転職すればぁ?」
はぁー…と深いため息を何度も吐きながら額に手の甲を置いて目を瞑る。
もーだめだ。あーモヤモヤとイライラが収まんない。
てかこんなに心臓バクバクしてることって久々かも。
レイに会ったら僕なにしちゃうかな…
どーしよ…
嫌われることしか浮かばない…
てゆーか…正気が保てなくなりそ
なんならもう今、既に…。
いや、正気を保ってる今この時間が辛すぎてしょうがない…
「ねぇ…くまポン…」
「あぁ?……モグモグ」
「……お酒、ある?」
「…なんだと?」
「あるでしょ。取って…」
「シチサンが置いてったデンマーク産の酒ならあと1瓶残ってるが」
「じゃ、取って。瓶ごと。」
なんでおいらが指図されてんだよ…
とブツブツ言いながら、ほらよ。と渡す。