第7章 rival of life■
「泣かないことが強いことだとは思わねーけど?
泣いても立ち直ることが強さなんじゃないの」
「…そうかな?でも涙は自分の中の弱さが溢れた結果だと思ってるよ。だから、」
言い終わらないうちに突然五条がレイを押し倒した。
レイは目を見開く。
五条は宝石みたいな碧眼でジッと見下ろしている。
初めてこんなに近くで見たと思った。
「っ……」
「どう?今泣きそう?」
覆いかぶさっている五条はいつの間にかサングラスを取っていて、冷酷でもあり美しくもある瞳が見下ろしている。
弧を描く彼の唇を見つめながら、レイは笑った。
「なにこのベタなかんじ?」
「ベタ?熱帯魚のベタ?」
「ははっ、違うし!ドラマとかによくあるベタな展開ってこと!まさにこの状況のことだよ!」
五条は更にレイに顔を近づけてにっこり笑った。
手首を掴まれているレイは無抵抗だ。
「その展開ってさ、だいたいどうなる?」
「…んー…それは確か…」
顔が赤くなっていくのがわかる。
口篭るレイに、五条は言った。
「確かさぁ、キスして、んでそのままヤッちゃうんだよね」
「し、知ってるならわざわざ聞かないでよ。
それに…これってそういう展開じゃ…ないでしょ…」
グッと押し返そうとするが、五条の力が強くて掴まれている手首はビクともしない。
「…さぁね?…
レイの望む展開にしてあげるよ…」
「…なっ…!…」
目を見開くレイの唇に、柔らかい唇が重なった。
それは一瞬だった。