第46章 domain
伏黒は唇を噛み締めて拳を握り、俯いた。
生きてほしいなんて言われたことは
生まれて初めてだ。
幼い頃、親に捨てられたばかりか禪院家に売り飛ばされる身の上でなんとか津美紀と2人だけで生きてきた。
子供の頃からそうだった。
なんのために、誰のために、誰に必要とされているのかもわからずに、ただこんな世界を呪って生きてきた。
そんなときに白髪の高校生が来て、禪院家から今度は呪術高専に売り飛ばされたような、こんな人生…
レイさん、なぜあなたって…
相手が欲しくてやまない言葉がわかってしまうんですか…
いや、違うよな…
この人はわかってない。
無意識だ。
まるでただ息を吐くかのように出てくるその言葉の数々が
きっとたくさんの人を救ってきている。
そのことにあなたは気づいてないんでしょうね。
だからこそ
こんなにも心の溝に染み込んでいくんだ。