第46章 domain
魔虚羅という「死んで勝つ奥の手」
つまり、"自爆技" があるらしい。
江戸時代の慶長のころ、
十種影法術使いの禪院家当主と、六眼無下限呪術持ちの五条家当主が御前試合で死闘を繰り広げた結果、両名ともに死亡していたらしい。
伏黒はその話を聞き、魔虚羅の調伏の儀を利用した道連れと推察。
それ以降、"六眼無下限呪術使い"すら倒せる魔虚羅の調伏の儀を最終手段として使おうとするようになった。
伏黒はこの「いざとなれば確実に相手を道連れにできる」という奥の手に甘んじていたため、「戦いの最中に強くなった少し未来の自分」を信じられず、五条が言うところの「本気」になれないでいる。
ということだった。
「なるほど、そっか!」
にっこり笑うだけのレイに、伏黒は息を飲む。
「ね、恵くん。
それはさ……絶対に、」
使わないでね。
その言葉に目を見開く。
「なぜ…ですか…」
彼女はまだニッコリと笑ったままだ。
「そんなの決まってるじゃん。
恵くんに、生きていてほしいからだよ。」