第7章 rival of life■
「なぁプー太郎、お前さぁ、傑に何か言われてるんだろ?」
「あ?何の話だ」
互いに画面から目を逸らさず、コントローラーをしきりに動かす。
「レイから目を離すなとか、俺と2人きりにするなとかだよ」
それを聞いて、クマはクスクスと笑った。
その声だけ聞けば非常に可愛らしい。
「そうは言ってないけど、こうは言ってた。
…あ、でも聞きたいのならまずはおいらに勝ってみろ!」
「おまっ!ちょーしにのんな!教えろよ!」
「お?それはおいらには勝てないと認めるってことか?」
「・・・うざ」
しばしの沈黙が流れ、ゲームにだけ没頭する。
そして、またクマが勝利してしまった。
五条はハーーっと長いため息を吐く。
「あぁ、わかった認めるよ。」
クマは満足そうに五条のベッドに寝そべった。
「守れって言ってたね」
「…は?」
「私がそばにいない時、いつどんなときもレイを守ってくれってね。その代わり、いつでもいちごミルク買ってあげるからって。そんなことを言ってたな。」
五条はベッドに肘だけついて真顔でクマを見つめる。
「…それだけか?」
「うん、それだけ」
「ぜってー嘘。」
「あ、思い出した。そーいえば、悟はたった1人の大事な親友だから、仲良くしてやってくれって言ってたっけなー。無理すぎて忘れてたわ。」
その言葉に、五条は目を見開いた。
それを見つめてクマはオホンと咳払いする。
「親友だけど、敵なんだってさ。
最大の敵なんだってよ。意味わかる?」
「・・・わからねーな」
「ふぅん…」
ジィっと見つめられる。
全てを見透かしたような硝子玉みたいなクマの瞳に気味が悪くなり、五条は目を逸らした。