第45章 complexion ■
「っごめ。でも殺菌できたよ。応急処置。」
つーっと銀の糸が口元に引き、優しげに笑うレイ。
五条は心臓が射抜かれる感覚がし、出血多量の眩暈のように頭がぐらついた。
「…… レイの見えない心の傷、いっぱいつけちゃって…ごめん」
「…え……」
「レイが傷つくと、僕もすっごく傷つくし、レイが痛いと僕もすっごく…痛い。」
俯いて目を合わせないまま呟くようにそう言われ、レイはたまらず五条に抱きついた。
その拍子で、2人の膝元の破片がカチャカチャっと音を立てる。
「っ!あぶ、危ないってばレイ!」
「・・・」
「…… レイ……ねぇ……」
何も言わず、ただギュッとしがみついてくるレイに、諦めたように五条は腕を回し、優しく包み込んだ。
耳元で小さく言う五条の声に耳をすませる。