第45章 complexion ■
レイはそこにある光景に目を見張った。
皿やグラスの破片がそこかしこにあり、
ルンバに座っているクマと、その目の前には片膝を立ててしゃがみこみ俯いている五条。
しかも、その手からは血が滴り落ちていて、五条はそれを茫然と見つめたまま動かないでいる。
破片の上にはポタポタと血痕が落ちていて、異様な空気が立ち込めている。
「な!なにしてるの!!早く止血しないと!!」
その声にようやく気がついたかのようにビクッと五条が顔を上げた。
「っ… レイっ…あ!ダメ来ちゃっ」
その声より先にレイは五条の手を握っていた。
バスローブ姿のレイは分厚いタオル生地の上から、破片の上に膝をついている。
「…ちょ、だめ危ない」
「それは悟でしょっ、なにやってんの」
レイは五条の手を自分のバスローブの袖口で抑えた。
白い生地がみるみる赤に染まっていく。
「……っ…」
「痛い?…大丈夫?」
「……大丈夫じゃ…ない…」
「っ、そうだよね…だってすごい痛そ」
「違くて!!」
突然言葉を被せてきた五条の顔に目を上げると、五条は痛みに顔を歪めたような顔でレイを見つめている。