第45章 complexion ■
ススススーーー…
細かい破片を吸い上げるルンバに乗りながら五条に近づいたクマは本から顔を上げ、驚いたように唖然とする。
「っ…びっ、くりした。……お前なんだ、
見るからに "病み五条" になってんぞ。」
「・・・」
血が落ちる自分の指をボーッと見つめたまま微動だにしない生気の抜けたような五条。
そこにだけ薄暗い闇が纏っているようなズーンとしたその光景に、クマはドン引きしたような顔になる。
「な、なぁ、病み五条…
とりあえずそこ、邪魔なんだが。」
「……ねぇ…」
そのままピクリともせずに静かな掠れ声を出す五条に、クマはまるで幽霊と向き合っているかのような不気味さを感じ、眉をひそめる。
「…あ?…つか血ぃ拭けよ…」
「…… レイ…泣いてるかな?」
ポツリと静かに呟いたその言葉に、クマは冷静な声色で言った。
「あいつがこんなことで泣くかよ、バカか。」
「……ならいいんだけどさ…でも……」
「・・・」
「僕よりも…傷ついてたらって…思うと……」
「・・・」
「そう思うと……僕はもっと…痛いんだ…」
「・・・」
「なんでかな……」
「・・・」
「結局は…他人なのに…さ…なんっで…だろね…」
「・・・」
見たこともないくらい項垂れて微動だにしない五条に、クマは盛大にため息を吐く。