第7章 rival of life■
灰原のそばで自分にだけバリアを張って浮遊するだけで、クマ自身はなんにもしなかったそうだ。
そのくせ、灰原の動きや攻撃について、事細かく指摘したり暴言を吐いたりしていたらしい。
「てめぇそこはまず右斜め後方からだろ!
はよ畳みかけろ!」
「はいっ!」
「下だ!下を見ろドアホ!注意散漫すぎだ!」
「わっ!は、はいっ!」
「おい左からなんか来るぞ、前からもだ。
そこへよじ登って上から一気に叩け!」
「はははいっ!」
…こんな感じだったらしい。
聞く限りだとなんとも偉そうでふてぶてしいのだが、灰原は、クマのおかげで生き残れたと言って興奮気味に話してきた。
「もうマジすごかったっす!クマさん神っすよ!さすが夏油さんとレイさんの子供さんって感じ!」
「いや…それは違うけど…」
なんでだろ?
とレイは思った。
私とクマで1度任務に出向いた時は、確かにいろいろ口うるさかったけど、迫ってくる脅威はほとんどクマが排除してくれたし、私が戦闘しやすいように常に動いてくれてた。
他の人の前だとやる気を示さないんだろうか?
単に気分屋なのか?
ただ1度だけ、クマのみの単独任務を夜蛾から言い渡されたことがあって、頑なに行かないと言い張っていたのだが、レイが、行ってこい!と一喝すると、しぶしぶ出向いてそして速攻終えて帰ってきた。
夜蛾からは、レイにしか従わない呪骸なのではと言われたのだが、その線が濃厚になってきている気がする。