第6章 Teddybear
「ふふ…クマ…君も本気じゃなかったんじゃないか…」
夏油の虹龍は目にも止まらぬ早さでクマにとぐろを巻き始めた。
バチンっバチンっと火花がほとばしる。
クマを纏う炎が龍の攻撃を弾いているのだ。
「すっすごいよ、クマっ!」
「…マジかー…」
「・・・っ」
夏油は何も言わずに眉をひそめだした。
そして…
ついに龍の呪霊はクマの炎によってたちまち焼きつくされてしまった。
「なっ?!……」
「おいらの勝ちだな夏油傑。」
「・・・」
「・・・」
五条とレイは目を見開いたまま唖然としていた。
ベンチでスルメを食べながら見ていた硝子と夜蛾はスルメを地面に落としてポカンと口を開けている。
しゅわんっという音とともに、クマから炎のオーラは消え、元の愛らしいクマのぬいぐるみに戻っていた。
まさに嵐が去ったように静まるその場の光景に、何事も無かったかのような静寂な空気が戻る。
この日から早くもクマは特級呪術師になってしまったのだった。
そして、レイは先日の任務と、今回の功績のおかげで準1級呪術師に昇格した。