第6章 Teddybear
その日の夜、夏油とレイは自販機のジュースを飲みながら休憩室で休んでいた。
クマは1人で、というか1匹でどこかへ行ってしまった。
恐らく夜蛾やパンダのところへ暇つぶしに行ったりしているのだろう。
「はぁー…なんだか落ち込むな。
まさかすんなり負けてしまうとは思わなかった…」
「いや、全然すんなりではなかったよ!?」
「けれど、負けは負けだ。父親が子供に打ち負かされるというのは、皆こんな気持ちになるものなのかな。とにかく複雑な気分だ…」
夏油は落胆しているようでもどこか嬉しそうだ。
まるで子供の成長を目の当たりにしている父親みたいに。
もちろんレイも複雑だった。
自分が作り出した傀儡が自分より強いだなんて、むしろ自分なんていらないのではと思ってしまう。
そんな気持ちを汲み取ってか、夏油はレイの顔を覗き込むと、小さく笑った。
「そんな顔をするなよ。レイはあそこまでのものを作れるんだ。もっと自信を持って。」
「いや、でもクマは私の力だけじゃなくて傑の力の影響も絶対にあるから」
「私はたいして何もしていない。でもそう思うのなら、実験も兼ねてこれからもっとたくさん作ってみたら?」
「うん…そうだね」
切なそうな笑みを零すレイと、優しく笑う夏油の唇が重なった。
夏油の指がレイの髪に滑り込んできて、後頭部をギュッと引き寄せられる。
いつの間にか、深く濃厚なキスを交わしていた。