第45章 complexion ■
さて、ではどんな相手を「生殖相性のいい相手」と我々は見なすのか。
それは「自分とはまったくちがう免疫を持つ相手」である。
たとえば、「暑さに強い個体」と「寒さに強い個体」がつがえば、将来地球が温暖化しても、子孫が残せるように。
このように生物多様性の論理にのっとって、地球上の生物は免疫のバリエーションを増やしてきたわけで…
それは人間も例外ではないわけだ。
「ねぇ、僕そーゆーの聞きたいんじゃないよっ。
相変わらずだなクマポンて〜…」
「異性間の諍いにおいて、異性の本能的な部分、原始的な部分から考えることは大事なことだ。」
「えぇ……」
「まぁ聞け。いいか。元々脳の作りが違う男女が、そもそも永遠に分かり合えるなんてことがあるわけねぇんだ。
喧嘩の終着点を、分かり合うだの心から謝るだのということにしても決着は永遠につかねぇんだよ、バカが。」