第6章 Teddybear
「ではクマ、…遠慮なく行かせてもらうよ、
……呪霊操術・仮想怨霊……」
その瞬間、クマの周りは禍々しい暗闇に包まれた。
そこに現れたのは気色の悪い女の怨霊。
『わた…わたし…き、きききれい…?』
ほほう…
仮想怨霊…
質問に答えるまでお互いに不可侵を強制する簡易領域か…?
クマは黒目だけをギョロギョロ動かして鼻で笑った。
「ふんっ…なるほど?
こんな女を使うとは… 神無月レイがいるというのに、お前なかなかやべぇ趣味してやがるな夏油傑。」
「別に私の趣味という訳ではないよ、クマ助。」
レイは五条にコソコソ耳打ちした。
「ねぇ、あれってどうなるかな?」
何度も、私きれい?きれい?と問いかけているその怨霊は巨大な糸切り鋏をカチャカチャと鳴らしている。
「…あれは口裂け女か…確かネガティブな返答をした対象に向けてあのキモイ鋏で攻撃をしまくるんだったよな…」
「うん、そうだったよね…
やっぱクマの返答次第ってわけか…」
『わた、わたし…きれ、い?』
そしてクマは答えた。
「うっせぇな。あえて言わせてもらうが、フツーにきめぇ。そしておいらが綺麗だと思うのは…この世でたった1人だけだー!!!!!」
バガガガガガガガ!!!!!!
その瞬間、怨霊とクマの同時攻撃が始まった。
なかなかいい勝負で凄まじい音が耳を劈く。
「危険だレイ、ちょい離れるよ」
「わぁっ?!」
五条によってレイは屋根に上げられた。