第6章 Teddybear
「あのっ、パンダくんに会わせてもいいですか?」
「ん、ああ、そうだったな。」
考えていくのはこれからにしようと思い、夜蛾はパンダのいる部屋へ案内した。
「なにこいつ?変なクマ。」
「・・・」
こうなることは分かってはいた。
しかし少しでも仲良くなってほしいと思い、レイはその場にクマをおろした。
「…誰すか?この汚い色の生物は?」
パンダのその言葉に、クマは完全にキレたようだ。
「ああん?!てめぇのその白黒のほうがおかしいだろうが!」
「白と黒は美しい色ですよ?で、なんなのです君は?」
いきり立っているクマを持ち上げながらレイは懇願するように言った。
「パンダくん、あのね、この子とお友だちになってほしいんだ。名前は…クマ!」
「クマ……わかりました。お友だちになってあげます」
「ありがとう!!」
「はっ、えっらそーに!」
「こらー!クマ!!」
パンダくんはとても素直でいい子だなと思った。
夏油は初めて見るパンダに目を見開いて観察するようにしきりに眺めている。
「んん…夜蛾先生?このパンダはまだ子供のようですが成長過程があるということですか?」
パンダはどう見てもまだ子供だし、声や言葉遣い、そしておもちゃ遊びをしているところなんかを見ると、赤ん坊のようだ。
「そうなんだよ、夏油。気が付いたか?
クマの方の精神は初めから成長しきっていてその概念は無さそうだ。しかし体に関してはまだわからないな。パンダと同じように成長していくかもしれん。」
なるほど…
確かにクマが赤ん坊だったとしたらこんなに流暢に口悪くペラペラ喋らないだろう。
成長という概念はないかもしない。
「ところで神無月、クマもこの部屋で過ごさせるか?」
気を遣って言ってくれた夜蛾にレイは首を振った。
「ひとまずは私の部屋で大丈夫です。いいよね、クマ?」
「おう、この白黒と同じ空間はごめんだね」
どこまでも性の悪いクマに3人はため息しか出なかった。