第43章 MY ALL
「ごめん…あんまり覚えてないの…。
心配かけてごめんね。お風呂入ってくる」
五条の返事も聞かずにレイは瞬時に部屋を出ていった。
風呂に浸かりながら、自分の弱さと愚かさにため息しか出ない。
けれど…
あんなに鮮明なものを見てしまうなんて…
この期に及んでまだ私は彼のことを…?
七海くんにも迷惑かけてしまった。
硝子にも悟にも心配かけてしまった。
悟はきっと私が目覚めるまでずっと隣で抱き締めていてくれたんだろう。
もっと強くなりたい。
足でまといにはなりたくない。
みんなの…悟の…
力になるって誓ったのに…
苦しい
苦しい
苦しい
あの人の姿を、声を、
あんなにリアルに感じて…
あの笑顔をまた向けられて
苦しかった…
あの頃の…
いろんなことがフラッシュバックしてくる
向けられたいろんな表情、
囁かれたいろんな言葉、
体温、鼓動、吐息、感触、
光る瞳、揺れる髪、開く唇、
なにもかも
私を掴んで離さない…