第43章 MY ALL
彼は先程と同じように目の前にしゃがみこんで
こちらを見つめていた。
……あれ…?
なんだったの?今の……
いつまでも立ち上がらないレイに、
彼は真剣な眼光を突き刺して言った。
「君は…私と悟、どちらを取るんだい?」
「え……」
さっきと言ってることが違う…。
静寂の森…
その不気味な空気の中、
どこかから聞こえる鳥の鳴き声だけが響いている。
生暖かい風が、2人の長い髪を揺らした。
「君は私のこと、今でも愛してるだろう?」
その言葉に、ドクンと鼓動が跳ね
冷や汗が流れた。
「さぁ立って。君はいつでも私に従順だったんだから」
「……い…やだ…」
「……ん?」
「……いけ…ない…」
レイは無意識にそう呟いていた。
彼の表情は氷のような冷たい笑みに変わった。
「…そう。なら…やはり力づくでも連れていくしかないようだね。まぁ元々、"さらっていく" つもりだったわけだし…ね…。」
彼の手が伸びてくる…
やっぱり拒めない…。
レイはギュッと目を瞑るしかできなかった。
体は硬直して動けないし、震えている。
あまりの混乱状態で吐き気もする。
そのとき・・・