第43章 MY ALL
「……じゃあっ…なん…で…」
「…ごめんね。それしか言えなくてごめん」
ギュッと彼の背中に手を回す。
滲み出てくる涙が止まらなかった。
「うっ…うわぁああぁん!傑のっ、ばかぁ!」
「……うん」
「私がっ…どんな思いでいたとっ…思ってっ」
「……うん」
わかってる。
うんしか言えないんだって…
なのにどうしてもあなたを責めてしまう。
言葉にならない叫びが止まらなくて
何度も責め立てるようなことを言っては
彼の胸を叩いた。
その間も、彼は「うん…」しか言わず
ただ抱きしめながら私に叩かれていた。
何も言うことがなくなって
ただ嗚咽を漏らしていると
儚げな声が聞こえてきた。
「何度も泣かせてしまってごめんね…」
「…じゃあもう、泣かせないで……」
何も言わずに、さらに強く抱き締めてきた。
息すら止まりそうになるくらいに。
「私もずっと、後悔してたよ…
レイにもっと、好きも愛してるも伝えればよかったってね…」
腕の中で
思わず息を飲み、目を見開いてしまった。
彼の本心を初めて聞いたと思った。
また涙がボロボロと零れ落ちた。
「でももう私はそれを言えないから…
今はレイにたくさんそれを言ってくれる人がいてよかったよ。
…私はいつまでも、君と悟の幸せを願ってるから…」
「……傑……っ…」
「レイ…っ…
こんな形でも…会えて嬉しかったっ…
本当に…っ…」
泣いているような声で
ギュッと包まれて、
そしてまた緩んで離れようとしてきた。
「っ!…待って傑!どこ行くの!」
あのときのことがフラッシュバックして
急いでその体にすがりついた。
また私を置いてくの?!
どこに行くの?!
今度こそ私はあなたを引き止めたい!
なにがなんでも!