第6章 Teddybear
「おいてめぇが夜蛾だろ?!教師ならこのバカ生徒をどうにかしやがれ!!」
その言葉にはさすがに皆唖然とした。
恐る恐る夜蛾を見ると、夜蛾はサングラスを取って目を細めだす。
ゴクリと唾を飲み込みながらレイが小さく言った。
「すみません…夜蛾先生…この子ちょっとまだ躾が…」
しかし意外にも夜蛾は冷静だった。
「いやもうこれは直らないだろう。呪骸の性格や性分は初めから決まっているようでな…人間の子供とは違うんだ」
「えっ……」
全員の視線がクマに向くが、クマは表情一つ変えない。
ぬいぐるみだから当たり前なのだが…。
「ところで、どのタイミングでどんな風にこいつが覚醒した?今後の呪術学のためにも詳しく聞いておかねばならん」
その言葉にはレイも夏油も口を噤んで目を泳がせた。
夜、2人でクマを間に挟んで互いに呪力を流し込みながら、そしてクマにキスをしたまま眠っただなんて…
まぁそれが原因かはわからないが、とにかくこの場ではそんなことは言えない。
「…あっ、夜蛾先生、話すと長くなるので後ででいいですかー?」
「…そうか、わかった。しっかし…クマの人形というのは元々気性が荒いものなのかな…こんなに見た目は愛らしくても分からんものだな…」
そう言いながらもどこか嬉しそうに背を向けて行ってしまった。