第14章 春原 百瀬
そう思いながら歩いていると、知ってる姿を見つけた。
「あれって・・・七桜さんと、ユキさん?」
俺と離れたところにいるのは、間違いなく七桜さんとユキさんだった...
みんなで集まってクリスマスでもしてるのかなと思ってバンさんの姿を探してみる。
3人一緒なはずだと期待を持って探したけど、淡い期待もハズレてしまいバンさんの姿はどこにも見当たらず2人は別な方向へ行ってしまった...
俺はその場に立ち尽くすしかなかった...
そっか...そうだよね...
アイドルだって、恋するよね...俺とは別世界の人でも同じ人間だもん、好きな人がいてもおかしくない。
あんなにイケメンで、あんなに可愛いならなおさらだ...
バカだな...七桜さんとなんて少し思った自分に心がズキッと痛んだ...
ユキさんが七桜さんのこと好きなのはなんとなくだけどわかってた。
俺が自分の中で七桜さんとなんて都合の良いことを思ってたからわかってても気付かないふりしてたんだ。
2人は前から付き合ってたのかな...?
それとも、ユキさんの想いに七桜さんが答えたのかな?
どっちにしても苦しくて胸の辺りをギュッと掴む。
同時に悲しくもなり、泣きたくもなった...
(あ、俺、おこがましいとか思ってたけど・・・七桜さんのこと本当に好きになってたんだ・・・)
自分の気持ちに気付いてしまった...
でも、ユキさんと付き合ってるし元々別世界の人だからダメなんだと言い聞かせるように何度も繰り返し頭の中で思った。
せっかく好きって気持ちに気が付いたのに...
恋愛ってみんな簡単にやってそうだけど、こんなに上手くいかないもんなんだなと初めて思った...
この気持ちは気付かなかったことにしようと、蓋をすることに決めた。
これからも、Re:valeのファンとしてみんなのことを応援しようと思った。
それに、この好きって気持ちに気付いたけどまだ初期段階だからいずれは風化してこの気持ちも忘れられるだろうと思う。
正直悲しいけど...
見てしまった以上、俺にはどうすることもできない...
ユキさんと付き合っているならなおさら...
2人の仲を引き裂いてまでなんて俺のはとてもじゃないけどできない。
七桜さんが幸せならそれでいい...