第14章 春原 百瀬
「君、手紙くれたことある?名前なんて読むの?」
千が万の手帳を見ながらそう尋ねる。
「す、春原 百瀬です・・・」
「春原 百瀬・・・そう。ありがとう、モモくん」
ー百saidー
Re:valeのライブに行くことになったのは、姉ちゃんに誘われたのがきっかけだった。
サッカーの試合中、対戦相手と接触したのが原因で足を負傷して夢だったサッカー選手も諦めるしかないと絶望していたときだった。
「嫌じゃないけど、わざわざライブまで行かなくても・・・」
「ライブだからいいんじゃない!会えるんだよ!」
「会えるったって、向こうは見てないだろ?」
「結構目合うんだよ!バンさんはファンサしてくれるし、七桜さんは見てるだけで癒やされるの!笑顔も可愛いし、演奏も凄い!目合うと私だけのって感じがするんだよ!」
「バンさんって姉ちゃんが好きなこの人?」
Re:valeのCDジャケットを見ながら指を指す。
そこには男2人女1人のグループが写っていた。
「そうそう!背が高くて、爽やかなんだよ!」
「へぇ、いい人そうだね。こっちは・・・チャラそうだなぁ」
「そっちはユキさん、ちょっと苦手・・・バンさんより人気あるけど、ファンと喧嘩したことあるんだって。七桜さんを庇ってしたらしいけど・・・」
「この人が悪いわけじゃないのに、そんなことでも嫌われちゃうんだ。アイドルって大変だな」
「で、この人が七桜さん!曲ごとに楽器替えて演奏するくらい色んな楽器できるの。たまに歌うんだけど、それが凄く綺麗な声でさぁ・・・しかも超可愛いし!」
「凄いね・・・」
「Re:valeは女の人のファンが多いけど、七桜さんのファンはまぁ、オタク系のファンもいるけど同じ音楽好きで演奏を聴きに来てる人が多いんだよ」
「聴きに行ってるって凄い好きなんだね。ファンにも色々あるんだ」
Re:valeについて熱く語る姉ちゃんはキラキラしてて、凄く幸せそうだった。
姉ちゃんが変は男に捕まらないか心配だけど、アイドルに夢中だから大丈夫かな。
Re:valeかぁ・・・
俺はCDを手に取り、もう1度それぞれの顔を見てみる。
(3人みんなして顔良いなぁ・・・美形揃い・・・イケメンに美少女・・・)
こんな人たちが近くにいたら、緊張して話せないだろうな...