第61章 来年に向けて
東京に戻ると、千はさっそく引っ越しの準備を始めた。
私が住んでる棟は家族用で部屋数も多い。
千が住む棟は単身用だけど、寝室の他にもう1部屋と防音室がある。
おかりんが手続きしてくれてたからいつ荷物入れても良い状態になっている。
七桜は部屋の掃除をして、俺とユキは持ってきた荷物を片付ける。
「とりあえず、先にカーテンつけてね?」
返事をしてユキと一緒につける。
「同じマンションなんて、なんか楽しいね!」
「棟は違うけど、いつでも行き来できるしね。にしても急すぎてビックリだけど」
「おかりん行動力あるよね。さっそくSNSも活用してるし。ファンクラブの子も登録してるってね」
「ありがたいよね。他にもなにか出来ることあればいいんだけど」
「前に七桜が言ってた、親子席と妊婦席は次のライブからやる方向で話は進んでるってね。あの親子も来られるといいけど」
「そうだね。ユキ、今日は帰るの?ご飯食べてかない?」
「いいの?でもまだ荷物の整理あるから帰るよ。モモたちも色々やることあるでしょ?」
「俺らは特に・・・って結婚指輪の準備してない!1月に間に合わないよっ!」
「明日でも行ってくればいいじゃない。婚姻届は書いたし、おかりんに預けたでしょ?結婚式はまだしないし」
家に向かって歩きながら話をする。
「そんなすることないよ。引っ越しも終わったし、片付けも終わったから」
家に着いて中に入る。
「本当、地下から繋がってるんだね。すごい」
「千、お母さんが野菜送ってきたんだけど、持ってかない?田舎の方に住んでる親戚が農家やってるんだって」
「どれも美味しかったよ!すごいいっぱいあるからアイナナ寮にも持って行ったんだよ」
「へぇ、本当美味しそうだね。そうね、サラダと煮物もいいね」
「昨日のナスの煮びたし残ってるよ。あと大根の煮物も残ってるし、あとサラダと何か作るから待ってて。百、昨日の出して用意してくれる?」
「OK!」
そう言って他に作ってくれる七桜と、準備するモモ。
まだ籍は入ってないけど、こうして見るとちゃんと夫婦に見えてる。そう思って微笑ましく2人を見てた。
「はい、お茶。何ニヤニヤしてんの?」
「もう、ちゃんと夫婦に見えるなと思って」
「そう?ちゃんとそう見える?」
モモは嬉しそうに笑顔を見せる。