第13章 血のイブ
12月24日の今日はクリスマスイブであり、千の誕生日でもある。
朝から紡とクリスマスケーキと誕生日ケーキを作っていた。
記憶の中でもよくお菓子を作っている映像が見える。
好きな物がかぶるのは記憶も関係してたりするのかな...
けど、その自分の前世と思われる記憶は大人になるにつれて薄れてきている。
それでも何故かアイナナの記憶だけは思い出した当初と同じく覚えている。
「お姉ちゃんは料理もお菓子も作るの上手だよね!それに美味しいし!私もそれくらい作れるようになりたいな」
「紡も上手に作れてるよ?作ってあげたい相手でもできたの?」
そう言うと、顔を真っ赤にしてお父さんだよって必死に説明してきた。
可愛い...まだ好きな人とかいないのかな?
楽しく話ながら作っていると、視界に影が見えて、そっちの方を見ると叔父さんが微笑みながら覗き見していた...
(もっと普通に近くで見ればいいじゃん。普通に怖いしビックリするから・・・)
時間より少し早いけど、ケーキを持ってライブハウスへ向かう。
2人もいつもより早く来たみたいで、ライブの前にケーキを食べる事になった。
「千、誕生日おめでとう」
「おめでとう、千」
「ありがとう。今年も七桜のケーキ食べられるの嬉しいよ」
「本当に美味しいよな」
そう言ってもらえるのは素直に嬉しい。
「ご飯とかも作れたりするの?」
「うん、まぁ一応?居候の身だし、ご飯くらいは作らないとね。2人とも全部美味しいって食べてくれてるよ」
「へぇ、ならいつでも結婚できるね」
「それだけで結婚できたら苦労してる人いないでしょ・・・それに相手がいないとできないんだよ」
ほんの一瞬、百の顔が浮かぶ...
(いやいや、おかしいだろ!そういう好きじゃないし!)
「相手は僕でよくない?」
「・・・ぶっ飛んだ発想しないでくれる?」
万は呆れて何もツッコんでくれないし...
千は付き合わない理由がない、付き合って結婚するのどこがダメなんだと聞いてきた。
そんな自信満々に言われても困るし迷惑だ...自分でおかしいと思わないのだろうか...
「誰でもはいって言うと思わないで」
「でも、何も言わなくても向こうから言ってくるよ?」
(・・・うん、千はそういう人だったよ・・・)
万はさらに呆れた顔で千を見ていた...