第57章 MV撮影
なかなか話さない大和。
「なんだよ。話すって決めたならシャキッとしろよ!」
「誰もがお前みたいに江戸っ子気質じゃないの」
楽に向かって言う。
「話しにくそうだから、僕から初めて会った大和くんの話をしようか?」
みんなが、千さんが?と不思議そうに言う。
「僕が初めて会ったのは・・・」
千が出会った頃の思い出話をし始める。
「ある日、珍しく声をかけてきたと思ったらこんな分厚いのし袋押し付けてきて、これ、パチンコですってこいよって渡されたんだ」
「ヤマさん!ナイフみたいに尖ってる!」
「大和さん、昔はそんなんだったんですか!?」
環と陸がビックリしてる。
「やめてくれぇぇ!恥ずかしすぎる・・・」
「怖って思ったけど、その頃はデビューしたばかりでお金なかったから贅沢なおせちが作れたけどね」
「「その節はお世話になりました」」
「千さんが言う業界の大先輩って?俺たちも知ってる人?」
楽が千に聞くが、それは自分で言いなって顔で大和を見る。
「えっと、ち、千葉 志津雄・・・俺の親父なんだ。小さい頃は普通に過ごしてたんだ。一緒に遊んだりもした。ある日テレビで女の人と一緒に出てるの見かけたんだ。その人が本当の奥さんだってその時知った。俺は愛人の子だってその時わかった」
「なんで親父に文句の1つでも言わなかったんだよ!」
「親父って言っても、年取ってたからな・・・それに俺から聞くのなんか悔しくてさ」
「大和さんはお父さんが大好きだったからじゃないですか?優しくて一緒に遊んでくれたお父さんもちゃんと知ってるから」
陸がそう言うと、大和もそうかもなと言う。
「うちも大和の小さい頃の写真見せてもらった事あるよ。志津雄さん、やっぱり息子は可愛いって言ってた。最近は話してもくれないって言ってた」
「大和さん、お父さんと話してみたらどうですか?」
「俺も、早めに和解した方がいいと思ってる。志津雄さんも大和に歩み寄りたいけど、どうしたらいいかわからないんだよ。年取るとさ、昔はできてたこともできなくなったりするんだよ」
「そうね。大和くんから歩み寄ってくれたら飛んで喜ぶだろうね」
「そう言うということは、そうしてほしい何かがあるんですね?」
「一織は本当鋭いよね・・・」
「探偵かなにかなの?」
「情報屋なの?」
「七桜さんまで」